起業や副業でマネタイズするときに知っておきたい法務知識があります。
起業して12年間。個人向けビジネスコンサルタントとして営業や集客だけではなく、法務や財務、税務に関しても、たくさんのお客様からご相談を受けてきました。
中でも、近年特に多いのが「特定商取引法(以下、特商法)」に関するご相談です。特商法は、インターネット販売や訪問販売など、消費者が商品を購入する際に守られるべきルールを定めた法律です。
特商法に関するお客様とのやりとり
はい、実は起業や副業を行う場合、特商法を理解しておくことは非常に重要なんです。特商法違反は、行政処分や罰則の対象となるだけでなく、お客様とのトラブルにも繋がる可能性があります。
怖いですね…。具体的にはどのようなトラブルが起こるの?
例えば、誇大広告や不当勧誘、クーリングオフ制度の説明義務の怠りなど、特商法違反には様々なパターンがあります。こうしたトラブルは、お客様からのクレームや訴訟だけでなく、事業の存続を脅かす可能性もあります。
確かに、そんなことになったら大変ですね…。特商法って難しそう…。
ご安心ください!特商法は、少し理解すれば誰でも守れるルールです。今日は、特商法の基本的な内容と、起業・副業でよくある特商法違反の例について、わかりやすく解説します。
特定商取引法とは
特商法は7つの取引について消費者の利益を守るための法律です。
訪問販売
事業者が消費者の自宅等に訪問して、商品や権利の販売又は役務の提供を行う契約をする取引のこと。 キャッチセールス、アポイントメントセールスを含みます。
通信販売
事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引のこと。 「電話勧誘販売」に該当するものを除きます。
LINEやメールでの申し込み、申し込みフォームからの申し込みも通信販売にあたります。
電話勧誘販売
事業者が電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引のこと。 電話を一旦切った後、消費者が郵便や電話等によって申込みを行う場合にも該当します。
連鎖販売取引
個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせる形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品(権利)・役務の取引のこと。
MLM、ネットワークビジネスなど。
特定継続的役務提供
長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと。
現在、エステティックサロン、美容医療、語学教室、パソコン教室、家庭教師、学習塾、結婚紹介など7つの役務が対象とされています。
業務提供誘引販売取引
「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品やサービス等を販売する取引のこと
「内職商法」や「サイドビジネス商法」とも言われています。
具体例:
- 在宅でできるパソコン入力業務、教材を買って試験に合格すれば月に10万円
- 情報商材を購入すれば、アフィリエイトで高額収入が得られる
- 技術を身につければ自宅が工房。研修費や教材費が必要だがすぐ元がとれる
- 貨物配送ができる。営業車を購入すれば仕事を回すので月に40万円の収入が見込める
訪問購入
事業者が消費者の自宅等を訪問して、物品の購入を行う取引のこと。
「不要な物品を買い取ります」と言いながらの車での取引など。
特商法での販売する側メリット
特商法を遵守することで、販売する側も以下のようなメリットがあります。
- 法的なリスクを回避する
- 事業の評判を落とすことを防ぐ
- お客様とのトラブルを防ぎ、信頼関係を築く
- 消費者庁や国民生活センターからの指導を受けるリスクを減らす
特定商取引法の概要
主なポイント
氏名等の明示の義務付け
事業者は、契約前に名前や目的などを説明する必要があります。よくホームページなどに表示されている部分です。
不当な勧誘行為の禁止
嘘の話をしたり、脅したりして契約させることは禁止されています。
広告規制
広告には、重要な情報がきちんと表示されなければいけません。虚偽や誇大広告は禁止されています。
書面交付義務
契約締結時等に、重要事項を記載した書面を交付することを事業者に義務付けています。
特商法改正で電子化もOKとなりましたが、書面の電子化の承諾手続や提供手続が必要です。
もしトラブルになったら?
- クーリング・オフ制度を利用して、契約を無条件で解除できます (※)
- 事業者が嘘の話をしていた場合は、契約を取り消せる場合があります
- 事業者が法外な料金を請求してきた場合は、支払いを拒否できます
(※) 訪問販売や電話勧誘販売など、クーリング・オフが適用される取引に限られます。
詳しくは「特定商取引法ガイド」でご確認ください。
まとめ
特定商取引法に違反すると行政処分を受ける可能性があります。
具体的には、業務改善指示や業務停止命令・業務禁止命令などが考えられます。
場合によっては罰則の対象にもなりえます。
2年以下の懲役または300万円以下の罰金、それらの併科が科せられる可能性があります。
しかし特商法は、一見難しそうに見えますが、基本的なポイントさえ理解すれば、それほど難しいものではありません。
基本を押さえて安心・安全にビジネスやマネタイズを行っていきましょうね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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えっ、特商法ってそんなに重要なの?